天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 手燭を口に挟んで、雲朔はゆっくりと降りていく。最後にバシャリという音がして、無事におりられたことが分かる。

「うん、思っていた通りだ。人が通れるように足場がある。足先は水に浸かるけど歩けないことはない」

 雲朔が無事であることを確認した亘々も暗渠の中に入る。私も後に続いた。

 冷たい水の感触よりも、くさい匂いの方が嫌だった。でも今は、そんな我儘を言える状況ではない。私たちは暗い闇の中を歩き出した。

「暗渠の中は、こんなに道が分かれているとは思いませんでした。よく正確な方向が分かりますね」

 亘々が感心しながら言うと、

「水利図は頭に入っている。こんな所で役立つとはね」

 と、雲朔は事もなげに返した。

 水利図を完璧に暗記している雲朔の頭の良さに亘々は驚いていた。本当に心強い味方だ。