天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

「着替えたんだね。逃げる準備はできてる?」

「亘々が着替えろっていうから……。でも、どうやって逃げるの?」

「さすが亘々だ。あの状況をすぐに察したんだね。その通り、このままだと皆殺しにされる」

「でも、お父様がいるわ! お父様が皆を助けてくれる!」

「そうだね、今はそれに望みを託すしかない。でも、万が一ということもある。そのために、逃げるんだ、いいね」

 有無を言わせぬほどの迫力で雲朔は言った。私は頷くしかなかった。

「さあ、行くよ」

 雲朔は私の手を引っ張って歩き出した。遠くから悲鳴や剣などの武器のぶつかる音がする。その点、後宮はまだ静かだった。武官も来ていないし、ここにいた方が安全に思えた。

 でも、雲朔と亘々はそう思っていないようなので、私は大人しく従った。

「どこから逃げるのですか? やはり外廷を通って?」

 亘々が雲朔に尋ねると、雲朔は首を振って否定した。