天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

「お嬢様が大人しくしていないからですよ! 女官の仕事なんていいんです、命には代えられないんです! 亘々、意地でもお嬢様から離れませんからね」

 亘々の目がつり上がり、怒気を帯びた声で言われた。

 やばい、余計なこと言ってしまった。

「さあ、さっさと食べて用意をしなくちゃいけませんよ。今日は春節を祝う御華園(ぎょかえん)の賀会の前に、紫禁城の集まりにも出席することになったんですからね。思いっきりおめかしされないと」

 豪華絢爛で広大な紫禁城は外廷にある。内廷で暮らす後宮妃たちは本来出てはいけない場所だが、宮廷行事である皇后主催の賀会に華を添える名目で、今回特別に臣下一同が皇帝の春節の挨拶に立ち会えることになったのだ。

「女人禁制の外廷に入ることができるなんて、大家と娘々(にゃんにゃん)は本当に器が大きい。大栄漢国は安泰ですな」

 大家は皇帝で、娘々は皇后をさす尊称だ。