「嘘……本当に? 本当に雲朔なの?」

 雲朔の顔を()でまわして、本当に実態があるのか確認する。
 彼に触れた手先が震えていた。涙が(あふ)れてきて、全身が喜びに震えている。
怖いとか憎いとか、そういう気持ちは吹っ飛んでしまった。代わりに胸を締めつけるような愛おしさが込み上げる。

「幽霊じゃないわよね?」

「死んでないよ」

 雲朔の困ったような笑い顔を見て、間違いなく雲朔だと思った。
 雲朔はいつもこうして私を受け入れてくれた。

「雲朔! 雲朔!」

  何度も名を呼びながら雲朔に抱きつく。
 もう二度と会えないと思っていた。死んだものと思っていた。

 会いたかった。ずっと、寂しかった。

 胸が締め付けられて苦しいけれど、喜びの涙がとめどなく溢れてくる。
抱きしめた腕に力を込めると、雲朔も全てを受け入れるように抱きしめ返した。