天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

拱手(きょうしゅ)の礼をしながら、ちょっと舌足らずの声で一生懸命挨拶する華蓮。

 大人たちが形式通りの挨拶をしているのを、いつものように下を向きながら聞き流していた僕だったが、華蓮を一目見て、急に背筋を伸ばして前に進み出た。

「宜しく。僕は雲朔。わからないことがあったらなんでも僕に聞くといいよ」

 伸びきった前髪をかき分け、外面用の笑顔で挨拶する僕に、みんなが引くほど驚いたことは言うまでもない。

「誰だよ、こいつ」

 一番上の兄がぼそりと呟いたが、僕は聞こえないふりをした。

「雲朔……様?」

 華蓮が、呼び方はこれで失礼ないのかと戸惑うように言った。

「雲朔でいいよ、華蓮」

華蓮は今日一番の弾けるような笑顔を見せた。