天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 僕が三歳まで喋らなかったのは、たんに話す必要性を感じていなかっただけだ。指をさせば女官の誰かが持ってきてくれるし、誰かと話したいという欲求もなかった。

 僕の関心はいつも地面にあった。

 色々な形の石、水たまり、そしてかっこいい虫たち。彼らの生体は興味深く、いつまで見ていても飽きなかった。

 そんな僕の顔を上げさせた決定的な出来事が起きた。

 華蓮が後宮入りしたのである。

 後宮の庭園に集められ、新しい妃を紹介された。

 玉石のように輝く大きな瞳に、桃のように色味を帯びた可愛らしい唇。透けるような肌の透明感と弾けるような笑顔。全身から溢れんばかりの好奇心と生命力。

(て……天女だ)

 この世のものとは思えない可愛らしさに、僕は度肝を抜かれた。天女じゃなければ、妖精か精霊か、とにかく常人離れした魅力だと思った。

「ご機嫌うるわしゅう、よろしくお願いいたします」