天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 川から上がり、草むらに華蓮を横にさせる。僕の衿元から、蜥蜴が出てきて逃げるように去っていったが、今はそんなことどうでもよかった。

「華蓮っ! 華蓮っ!」

 大きな声で呼びかけると、華蓮の口から水がゴボっと出てきた。

 ゲホゲホとせき込む華蓮の上半身を抱きかかえ、息がしやすいように支える。

「華蓮、大丈夫か⁉」

 目を開けた華蓮は、自分のことより僕が無事だったことに安堵したのか微笑んだ。

「雲朔、良かった……」

 だんだんと意識がはっきりしてきたようで、目に生命力が戻ってきている。

「全然良くないよ。なんて無茶するんだ」

「雲朔がいない世界なんて死んだ方がましだもの」

「なっ……」

 華蓮の言葉に僕の顔は赤くなる。

「僕にとっても華蓮はとても大切なんだ。もうこんな無茶はしないでほしい」