天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 冷たい川に飛び込み、川底に向かって泳ぐ。

やはり、底の方には雲朔がいた。目は閉じて、ゆらゆらと漂っている。

 意識のない雲朔を抱きかかえ、上がろうと試みるも、雲朔の足に水草が絡まっていて持ち上げられない。そもそも水の中で自分よりも重い雲朔を持ち上げることは、いかに運動神経の良い私でも至難の技だ。

 思いきり引っ張って水草を取ることには成功したが、そこで力を使い果たした。力が抜け、朦朧とする意識の中、雲朔にしがみついた。意地でも離さないと決めた。

死んでも、死んだ後でも離さない。ずっと一緒だ……

 ◆

 なにかに掴まれた感触がして、僕はハッと目を覚ました。

 目の前には、意識を手放しながらも僕に抱きついている華蓮がいた。

(華蓮っ!)

 なんて馬鹿なことを。僕を助けようと川に飛び込んだことは明白だった。

なくなっていた力が湧き上がってくる。

 泳げる泳げないなんて関係ない。華蓮を助けるためなら不可能でも可能にしてみせる。

 僕は華蓮をしっかり抱きしめながら、ゆっくりと浮上していった。