「秘密通路は皇帝の私室に繋がるものだから、悪戯で使うのはよくないよ。皇子である僕でさえ気づかれたら厳しく処罰されると思う」
「なんだ、つまらない」
私は頬を膨らませて背もたれに寄りかかった。
「最近、外廷では不審死が増えているからね。僕はなんだか嫌な予感がするんだ」
「大丈夫よ、大家(ターチャ)は名君だってお父様がおっしゃっていたもの!」
大家とは、皇帝に対する尊称である。
「その言い方だと、皇帝より華蓮の父の方が偉いと思っているように聞こえてしまうよ」
と、雲朔は笑いながら言った。
事実、ほとんど会ったことのない皇帝より、禁軍大将である父の方を敬慕(けいぼ)している。ただ、皇帝は雲朔の父でもあるので、畏敬の気持ちはちゃんと持っているのだ。
「そんなことないわよ」
慌てて否定する私を見て、雲朔は目を細めて私の頭をなでた。
「そうだね、父上がいればどんなことがあっても乗り越えられる」
まるで、自分に言い聞かせるような言葉だった。
「なんだ、つまらない」
私は頬を膨らませて背もたれに寄りかかった。
「最近、外廷では不審死が増えているからね。僕はなんだか嫌な予感がするんだ」
「大丈夫よ、大家(ターチャ)は名君だってお父様がおっしゃっていたもの!」
大家とは、皇帝に対する尊称である。
「その言い方だと、皇帝より華蓮の父の方が偉いと思っているように聞こえてしまうよ」
と、雲朔は笑いながら言った。
事実、ほとんど会ったことのない皇帝より、禁軍大将である父の方を敬慕(けいぼ)している。ただ、皇帝は雲朔の父でもあるので、畏敬の気持ちはちゃんと持っているのだ。
「そんなことないわよ」
慌てて否定する私を見て、雲朔は目を細めて私の頭をなでた。
「そうだね、父上がいればどんなことがあっても乗り越えられる」
まるで、自分に言い聞かせるような言葉だった。



