天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

「今日は、面白いものを見つけたんだ」

 雲朔の目が好奇心で満ち、悪戯を思いついた少年のように輝いていた。

 こんな表情をするのは珍しい。雲朔はいつも穏やかで、悟りの開いた老衰者のように感情の起伏が平坦だった。

(ああ、でも、こんな楽しそうな表情をする雲朔も素敵……)

 私は雲朔の整った横顔を見つめながらため息をはいた。

 瞳は切れ長で艶めいていて、肌は白磁のように滑らかだ。人形のように美しいのに、男の色気をすでに漂わせている。数年後、今よりも背が伸び、ほどよく筋肉がついたら世の女性たちが黙っていないだろう。

(そうなる前になんとしてでも、雲朔の特別な女性にならなくちゃ!)

 私は静かに決意した。