天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 長年、体を酷使していたせいか、母は病気になってしまった。

病人を離れの小屋に隔離して、医者にも診せず、食事すらまともに与えず、衰弱していくのを放任していた。

俺はなんとか母を助けようと食べ物を盗んでは母に渡したが、固形物がだんだん食べられなくなり、母は餓死した。

 母が死んだ夜、俺は父を木刀で殴り殺し、家屋に火を放って山へと逃げ込んだ。八つのときの話だ。

 街に戻ったら捕まるので、俺は山賊の下っ端となった。そこから幾戦もの死地を乗り越えて山賊の長になった。

 俺は喧嘩では誰にも負けたことがなかった。

どんどん規模を拡大していき、数年で国一番の山賊へと成長を遂げた。

そんな頃、雲朔に出会った。

 俺が喧嘩で初めて負けたのがあいつだった。

真っ青な顔色をしながら、表情一つ変えず、滅多に言葉も発しない。

なにを考えているのか全くわからない上に、人間とは思えないほどの圧倒的な強さだった。