天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

「華蓮、下りておいで」

 太湖石を見上げながら、穏やかな声を投げる人物。いつの間に現れたのか、女官たちは驚いて慌てて拱手の礼をする。

「雲朔……」

 私は雲朔を見下ろし、決まりが悪いなと思いながらも素直に従って下りてきた。無事に地面に足がつくと、しずしずと雲朔に近寄った。

「太湖石に登ったのはこれが初めてなのよ。本当よ」

「うん、でも、危ないから登っちゃ駄目だよ。可愛い顔に傷がついたらどうするの?」

 途端に私の頬は真っ赤になる。雲朔は私と背丈はあまり変わらないけれど、涼やかに整った容姿端麗な面立ちに、溢れ出る気品と風格。

私より二歳上だけど、おとなびた雰囲気と口調のせいでもっと年上に見える。