「島の近くで泳いでいる魚たちが死んでいってるんだ。こっちは商売上がったりだよ」

 船乗りたちに責められて、雄珀はたじたじだ。

「海も汚染されていってるということか」

 俺は顎に手を当て、考え込むように言った。

「尸鬼は泳げないのか? なら、海に落としてしまえばいいんじゃねぇか」

「そんなことをしたら益々海が汚れちまうよ!」

 雄珀の案に次々と反対する船乗りたち。短気で気性が荒い者同士なので、すぐに言い合いになる。

「だとすると、弓か」

 俺の案に、武官たちはすぐに弓の準備を始める。

「弓で倒せるのかねぇ」

 雄珀は俺の隣に立ち、弓の準備を懐疑的に眺めた。

「とりあえず、安全な場所から攻撃し、尸鬼の生体を把握することから始めよう。当たった武器が腐るかどうかも見極めたい」

 島がよく見える船乗り場に野営地を作り、そこを本部として戦に備えることになった。

明朝、尸鬼との戦いがついに始まる。