時の皇帝は幼児愛好家かと訝(いぶか)れるかと思うが、鴛家は一夫一婦制の鴛鴦を祖とするので、皇后としか夜を共にしない。しかし後宮制度は政治的に多大な利権があるので、妃嬪(ひひん)の数は最小にして運営していた。

 後宮妃となっても帝からお手付きがなければ下賜(かし)され、別の者と結婚することは一般的であったし、皇帝には遵従(じゅんじゅう)の意思を示せ、後宮妃という身分を賜ることは箔付けにもなった。

鴛帝が一夫一婦制というのは国中の者が知っているので、婚姻に差し障ることはない。

 私の父は、禁軍大将軍だった。私が後宮妃となったいきさつは、父が皇帝から絶大なる信頼を置く重臣であったということと、幼くして母が亡くなったことが影響していた。

 後宮妃になれば女官から世話をしてもらえるし、豪華な衣装を着て美味しいものを食べられる。

普通の後宮とは違って妙齢の女性ではなく、幼女や少女が集まっていたので、高度な教育を受けることもできた。