天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

一人残された私は、途方に暮れながら立ち竦んだ。

(どうしよう……)

 わけのわからない道具ばかりを目の前にして固まる。とりあえず、自分が言い出したことなので、自分でなんとかしなければいけない。

(占術なんてしたことないから分からないわよ。祭祀を司る神官や占術師を呼んでもらおうかしら。でも、占ったところで役に立つかしら。そもそも、戦い方に口を出すべきじゃないし……)

 考えれば考えるほど、名案だと思って興奮してきた案が、愚策に思えてきた。

(違う、私がやりたかったのは天に助けを請うことよ。結婚式であれだけ大掛かりな祭祀をやったのだもの、私にだって天のご加護が宿っているはずじゃない?)

 大栄漢国の民は信仰深い。それは私だって同じことだ。生まれた時から皇帝や皇后は選ばれた天の使者だと聞いてきた。だからこそ心から敬い、崇めていた。

 まさか自分が、その皇后になるとは思ってもみなかったし、皇后になったところでなにかが変わったとは思えない。