天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

「そうです。もうお嬢様と呼ぶのはおかしいでしょう。私も皇后付きの女官なのですから、これからは責任を持って接してまいります」

 今までお饅頭をポイポイ食べて、やることといったら私の話し相手くらいで堕落した生活を送っていた者とは思えない発言だ。

(まあ、確かに、私も皇后として自覚を持たないと)

 皇后は妃嬪とは違うのだ。皇帝を喜ばせ、子を持つだけが仕事ではない。後宮を束ね、国の未来を考える存在であらねばならない。着飾って、お菓子を食べて日中過ごすだけでいいわけはない。

 数人がかりで入念に化粧を施し、幾重にも重ねた豪華な衣装を身に纏う。

 正直、重いし面倒くさい。これが毎日かと思うとげんなりする。

 とはいえ、愛する人が皇帝となったのだ。しかもお嫁さんにしてほしいと頼んだのは私だ。雲朔が簒奪帝を倒し、新皇帝とならなかったら、今でも国は簒奪帝の私利私欲のために湯水のように税金が使われ民が苦しむことになっていた。

(お父様がずっと守ってきたこの国を、今度は私が守るのよ)

「ところで、皇后の具体的な仕事ってなにかしら?」

 やたらと意欲満々な亘々に問う。

 すると、亘々はしばらく考え込んだのちに口を開いた。

「さあ、なんでしょうね」

 ……前途多難な幕開けだ。