天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 目を覚ますと、朝日が眩しく部屋全体を明るく照らしていた。

 広い寝台に一人で寝ていた私は、おもむろに起き上がった。

(しまった、寝すぎたわ)

 雲朔は朝日が昇る前に朝廷に出かけていった。皇帝は神事を司っているので朝から忙しいのだ。

 昨夜はたっぷり雲朔に愛されたので、雲朔を見送ったあと二度寝してしまったらしい。

 雲朔は名残惜しそうに、何度も私を抱きしめ、なかなか出立しなかった。駄々っ子のように出勤を嫌がる雲朔を優しく諫めた。

(雲朔はほとんど寝ていないというのに私ときたら……)

 寝台の横にある小卓に置いてある呼び鈴を鳴らした。

 するとすぐに亘々が部屋に入ってきた。

「おはようございます、娘々(にゃんにゃん)」

 やけに威勢のいい声で、溌剌(はつらつ)とした様子だ。しかもいつもより身なりを整えて上品な出で立ちになっている。

「娘々?」

 訝し気な表情で亘々を見る。亘々以外の女官は、私を娘々と呼ぶが、亘々までも皇后の尊称で呼ぶのはおかしな気がする。