天帝の花嫁~冷徹皇帝は後宮妃を溺愛するがこじらせている~

 亘々は、雲朔が尸鬼になってしまったという考えに自信があるようだった。

 まさか雲朔が、と思う気持ちもあるが、否定するだけの根拠はない。

「もしも尸鬼に体を乗っ取られてしまっていた場合、助けられるのはお嬢様だけかもしれませんよ? 雲朔様が完全な尸鬼になる前に助け出しましょう」

(雲朔を助ける……)

 そう言われると、俄然やる気が出てくる。もしも本当に雲朔が尸鬼に体を乗っ取られてしまっていたのなら、昔の雲朔に戻る可能性もあるということだ。

「そうね、調べる価値はありそうね」

 私は覚悟を決めた。

 その日は亘々と二人で、雲朔の評判を聞いてまわった。とはいえ、後宮から出ることはできないので、女官からの情報になる。

 雲朔の評判は真っ二つに割れた。残虐非道で冷酷無比な皇帝という噂と、慈悲深く身内思いの賢帝という噂だ。

 いったん部屋に戻って、これら情報を精査する。