65リットルよりも、笑って。





「病気なの、私。だから闘病するために高校も中退して……、薬の副作用でぜんぶ抜けちゃった」


「…………」


「それでも好きでいてくれる?いろいろ苦しい思いさせるかもだけど…受け入れてくれる?」



好きなんだから受け入れてくれるよね。

やり直したいんでしょ?
今なら上手くやれる自信があるんでしょ?


重すぎ代表ナンバー1。


だからダメなんだってば、この病室に連れてきたことは。


病室の外、
微かに開いた隙間から覗いて見える白衣。

その姿を目にしたから勇気が出ただなんて言い訳、笑っちゃう。



「………ご、めん」



返事はたったの、それだけ。

そりゃそうだ、当たり前だよ。
わかっていたし、私もそれを聞いてホッとした。



「ううん。いーよ」



穏やかに返して、櫂くんがいなくなった病室でしばらくウィッグは取り付けなかった。



「先生、なんかね、パーっとしたいな」



ドアの外。

私が落ち着くまで同じように立っていた担当医へと、「そろそろ出てこい」の意味を込めて笑いかける。