「あのときは学校が離れてるからって適当な理由使ったけど…、俺にとって初めての彼女でどうしたらいいか分かんなくて、振られるのが怖くて逃げただけだった」
そっと握られた手。
あなたはすごく良い彼氏だったよ。
5人中の、3人目。
私が今まで付き合ったなかでせめてもを選ぶなら、櫂くんかなって言えるくらいにはね。
「やっぱり俺、今でもなゆのことが好きだ。……また、やり直せない?」
ほんとうに、本当に好き?
私のこと、本当に好きなの?
「…………」
いま、目に見ているものしか見えていない人。
現実はもっと過酷で残酷なことを何も知らない人。
それを知った上でも同じ言葉を言ってくれる?
ねえ、櫂くん。
「………え……」
勇気を振りしぼって、被っていたロングヘアーをパサッと取った。
これが私の本当の姿。
これが私の、今現在のあるがままの姿。
今までアイロンで巻いたりヘアオイルをつけたりして可愛いを表現していた髪の毛なんか、1本も残っていないんだ。



