65リットルよりも、笑って。





「…じゃあ誰だ」


「……元カレだよ元カレ。半年も続かなかったけどねー。…最悪だよほんと。こーいうのに限って忘れてくれないんだから私の脳ミソは」



先生からはいちばん遠いものだよ。
恋だの愛だの、興味なさそうだし。

とか言って数あるわりには、実際はひとつも知らないのが私だ。



「私にはこれでじゅーぶん」



ベッド脇に置いてあるゲーム機。


スイッチを押すだけでキラキラした世界が始まって、画面に映った彼は私のことだけを見てくれる。


どんな人間が操作しているかも関係ない。

画面内の私はとても可愛らしくて、毎日を精いっぱい生きている女の子だ。



「なーに。さみしくて憐れとでも思った?」



いつまでそこに立ってるの。

蓮夜にも会えなくなって、けっこう退屈な毎日なんだよ私。


毎日がリハビリと検診の繰り返し。

ちょっとくらいの息抜き、いいでしょ?



「ちがう。そうじゃない」


「だったらなに。いつも以上に仏頂面しちゃって」


「…………」


「…先生ってさ、かなりイクジナシだよねー」