65リットルよりも、笑って。





「連絡、ぜんぜん取れてなかったけど。元気してた?」


「……してたよー。櫂くんも元気そうでよかった」



いい彼氏だった。

すごく好きな彼氏、じゃなくて、すごく良い彼氏、だった。


入院してから過去の自分のことを知っている人間と顔を合わせたのは初めて。


学校もやめたことを知ったら、櫂くん驚くだろうな。



「じゃ、じゃあそういうことで~」


「あっ、なゆ!俺さ……、あれから───」


「このあと血液検査」



私と元カレの再会に混ざった声。

背後の気配を消していた医者は相も変わらない表情でトーンを変えず、淡々と言ってくる。



「部屋に戻れ」


「…血液検査って…、もしかして先生がやってくれるの?」


「なにか不満でも」


「不満っていうより、不安だね。大丈夫…?ぜんぜん違うとこにぶっ射さないでよ?」


「俺は評価オールAだぞ」