65リットルよりも、笑って。





「も~、みんな心配しちゃってさー。ぜんぜん大丈夫なのに」


「今日の薬は飲んだか」


「飲んだ飲んだ。飲みましたよーだ」



その日以来、てんかん発作というものが起きることはなかったけれど。

今まで以上に医者たちが気にかけてくるようになった。


とくにこいつ、斑鳩 泰斗っていう担当医。


時間さえできれば私の病室に入ってくるんだから、困るよもう…。

増えた薬もちゃんと飲んでいるし、抗がん剤治療に放射線治療、文句を言わずに受けてるってのに。



「うそっ、ここでムービーゲット!?やったー!やっぱりあの選択であってたんだ~」


「……なんだそれ」


「ふふん。私ね、いま恋してるの。クールで完璧って呼ばれてるけど実は恋愛になると超超初心者!な、年上アイドルとね!!」



呑気な奴だ、とでも思っているんだろう。

数日前はあんなことがあって、下手したらそのまま命に関わる危険があったらしい。