「なゆさん。今から先生はゆっくり話すから、聞いてくれるかい?…きみの頭のなかにはね───」
ねえ、先生。
このとき先生がどんな顔してたか、もっとよく見ておけばよかった。
私の頭のなかにある爆弾は、手術をしたとしても生検術にしかならなくて。
それはどんな爆弾なのかを調べるための方法にしかならなくて。
中枢神経原発悪性リンパ腫(PCNSL)───、
脳腫瘍の一種であり、発生原因はいまだ明らかとはなっていない病気。
無治療の場合、生命予後は数ヶ月。
早期発見から標準的な治療を行った場合、5年生存率は50%。
しかし私の現状では治療したとしても持って1年らしく、実際のところは半年と言ったほうが正しいみたい。
進行速度がはやい、それは末期がんである。
さまざまな影響によっていずれ高次機能障害が起きると、記憶障害や精神障害、運動障害、感覚障害、失語に麻痺などが発生する。
最終的には意識障害を生じて、自分の意思による行動が取れなくなり、徐々に衰弱してゆくという。
高校3年、9月中旬。
それが、
私に言い渡された神様の意地悪だった────。



