65リットルよりも、笑って。





「うち、そこまで複雑ってわけでもないんですけど…、親戚の家にお世話になっている身でして」


「…そう…なのか」



と、反応したのは若いほう。


とっさに出てしまった言葉なのだろう。

ハッとして口元に手を当てては、軽い咳払いに変えて誤魔化してきた。



「できれば心配とかお金とか?かけさせたくないんですよね~」



今日の診察だってお小遣いで来ているようなものだし。

だいたいどこの病院も土曜日は午前中しか診察の受付がされてないみたいだったから、こちらが頑張って合わせてきたの。



「だとしても呼んでほしい。これはね佐野さん、きみの命に関わる大切なことなんだ」



だったら尚更じゃんか。

心のなかで悪態をひとつ吐きながら、スマートフォンで電話をかけた。



「なゆちゃん!どーいうことなの大学病院って…!」


「ごめんおばさん。私もよく分かんなくて、お医者さんが呼んでくれってうるさくてさ~」