「ふつーに嘘つきじゃん」
「嘘を言ったつもりはない」
「だって手術すれば治るって言ってただろ!抗がん剤なんて絶対やらねーからな俺!!」
斑鳩 泰斗、30歳。
大学を卒業してこの大学病院に勤務。
2年間の臨床研修+3年間に渡っての修練を経て、無事に最短で外科専門医の資格を取った。
そこから一人前になるため経験を積み重ねている脳神経外科医の俺は現在、とある患者の主治医をしている。
「手術すれば腫瘍はある程度取り除ける、とは言ったな。そのあと抗がん剤を投薬することで残った腫瘍を消していくんだ」
この組み合わせが大切だと、何度言ったとしても「いやだ」の一点張り。
中学3年生、闘病生活で入院となった怒りを医者たちに向けてくる絶賛反抗期といったところか。
「俺の腫瘍は良性なんだろ?手術も成功したんだし、はやく退院させろよ」
「だからこそだ。どんなに早期発見をして早期手術ができたとしても、再発して悪性になる可能性だってある。だからこそ確実な対応が必要なんだ」



