「どーぶつ…えん、……いく」
ふたりで、いきたい。
きゅっと、風になびく白衣を握る。
それだけで泣きそうな顔に変わって、ぐっと噛みしめるように笑顔を作るらしくない動作まで。
言葉で言うとあなたはぜったい泣いちゃうから、私は心のなかで言うんだ。
ごめんね───って、何度も。
「ああ、行こう。ぜったい行くぞ」
「…たの、しみ…ね」
「…俺もだよ」
ふわりと、おでこに柔らかい感触。
夕日と重なった同じ色が綺麗だ。
とても、すごく、きれい。
「…せんせ、しあわせ」
それを聞いて、頬を撫でてくれたついでに今度は唇。
しあわせ、しあわせ。
言葉に出すようになった私に、いつも彼は瞳を揺らす。
「…ばあか」
「…おい。なんだと」
「せんせ、ばあか」
「2回も言うな」
宝物のネックレスはずっと一緒だよ。
どんなときも付けているの。
似合うねって、かわいいねって、目にした看護師さんたちはみんな言ってくれるんだ。



