65リットルよりも、笑って。





「どーぶつ…えん、……いく」



ふたりで、いきたい。


きゅっと、風になびく白衣を握る。

それだけで泣きそうな顔に変わって、ぐっと噛みしめるように笑顔を作るらしくない動作まで。


言葉で言うとあなたはぜったい泣いちゃうから、私は心のなかで言うんだ。


ごめんね───って、何度も。



「ああ、行こう。ぜったい行くぞ」


「…たの、しみ…ね」


「…俺もだよ」



ふわりと、おでこに柔らかい感触。

夕日と重なった同じ色が綺麗だ。


とても、すごく、きれい。



「…せんせ、しあわせ」



それを聞いて、頬を撫でてくれたついでに今度は唇。


しあわせ、しあわせ。

言葉に出すようになった私に、いつも彼は瞳を揺らす。



「…ばあか」


「…おい。なんだと」


「せんせ、ばあか」


「2回も言うな」



宝物のネックレスはずっと一緒だよ。
どんなときも付けているの。

似合うねって、かわいいねって、目にした看護師さんたちはみんな言ってくれるんだ。