「人生の上で“なぜ転んだのか”という分析はもちろん大切だ。でもそれは、どうしようもないことだってある。予期せぬ事態だって、ある。だからそれ以上に大切なことは、そこからどう起き上がって、どう歩いていくかだと思うんだよ」
その答えを俺は知っている。
懸命に病気と闘う少女から日々、教えられている。
俺が初めて恋というものをして、初めて心惹かれた彼女に。
「僕も斑鳩くんも、いつか同じ道を通る。必ず…誰もが死というものからは免れられない。ただ、ね。しっかり生きて、しっかり死んでいく。あの言葉は……僕たち医者にとっても強烈だった」
あれを言われて、俺はもう成す術はないと思った。
彼女は誰よりも覚悟している。
彼女はすでに生死というものに執着していない。
覚悟ができていないのは、執着しているのは、医者である俺たちなのだと。
「とてつもなく素敵な女性に惚れてしまったね、きみは」
「……はい」
そしてこの会話を眠っていたはずの本人がすべて聞いていたなんて、知らなかった───。



