神様は選んでるのかな?と、なゆは最初の頃によく言っていた。
蓮夜がいなくなって、自分の症状も増えていくたびに理不尽な神様に対する、それがせめてもの悪態だった。
可愛すぎるんだよ、そんなものは。
「ただ、この治せない歴史が未来に繋がってもいくんだろう。救えない病気があることで、新たな発見や開発がされていくのも事実だ」
「…そんなの…、ふざけんなって話ですよ、」
「ああ、いま目の前で救えない命を見るたびに……僕も悔しい。けれどあるとき、担当した患者が言ってくれたことがあってね」
経験が人を強くさせ、成長させる。
なゆも俺に言ってくるが、俺はそんなの納得できない。
おまえを“それまでの道”にはしたくない。
どうしたって大切なんだ、特別なんだよ……おまえだけは。
「その患者も末期がんで余命数ヶ月だった。…最期、“先生が私の主治医で良かった”と、僕に笑ってくれたんだ」
それは単なる患者の優しさじゃないのか。
最後の最期になって医者のことを逆に気にかけてしまった、患者なりの気遣いとも言える。



