65リットルよりも、笑って。





「…どうかな?」


「……わりといけそう、かも」



主治医も見守るなか、とうとう佐藤先生に渡されてしまった松葉杖。


日が経つに連れて動かしづらくなった私の右半身。

奇跡というものに賭けていたわけでもないが、予想されていた症状は嘘をつかなかったというわけだ。



「車椅子という手もあるんだけれど、まだ動かせるなら尚更つかえる筋肉を鍛えよう」


「うん、松葉杖でいけるよ全然。車椅子ってほどじゃないや」


「…そっか」



それからというもの私は、普段どおり歩くことが困難になった。

歩き方すら分からなくなるほど、自分の意思で肉体を動かすことが難しくなり、足だけでなく腕にも影響が出るようになった現在。


結局こうなるのかあ……。



「にしても右半身だけってのもさー、嫌なことするね神様は。ここまできたら変に希望なんか持たせなくていいのに、もう」



美子ちゃんもそう思うでしょ?

なんて笑いかけると、どう反応すればいいのか分からない顔にさせてしまう。