65リットルよりも、笑って。





「うん。これね、いま人気のシャンプーらしくて…」


「えー、いつものがいいけど……まあいっか今回は。でも忘れるってないでしょー。なゆだっていつも使ってるじゃん」



それから帰宅して、なんとか春海お姉ちゃんはお高めのジャンプー満足してくれたようなのだけど…。

問題はそれだけではなかった。



「ちょっとなゆちゃん!今朝、家のカギ閉め忘れてたでしょ!?」


「………あ…」


「もう危ないじゃない!どーせ、トイレットペーパーとティッシュも忘れてるんでしょう!」


「……ごめん、なさい」



自分でも腹が立ってくるほど、物忘れがひどすぎる。


そうだ、ぜんぶあいつのせいにしちゃおう。
あの生意気なお医者さんらしい人のせい。

思い出すだけで素直に謝った自分も馬鹿みたいに思えてくる。


あの車両には2度と乗らないようにするし、やっぱり病院なんかぜったい行かない。


最悪な出会いは、数日後に再会を果たすことになるとは知らずに。