65リットルよりも、笑って。





「でも私はさ、その落ちた雪を“きれい”って言える人間になりたいな」


「…俺もだ」


「ふはっ」


「……なにが面白いんだよ」


「だって先生、よく肯定してくれるようになったなーって」



それってわざと───?

悪気があってとか、嫌味で言ったとか、そういうわけじゃない。


単純に嬉しいんだよ。


最初のイメージ以上に、超絶不器用で可愛いところもあるって知ったのが。



「んっ、……もう、いいかげん一言くらい断ってよ」



構えていないときこそしてくる。


この人のキスはたぶんこれが精いっぱいで、本人としてはかなり頑張っているんだろう。

だから私もそこまで責められないし、幸せだって感じてしまうんだから困るよ。



「私の人生だって、考え方によっては同じだよ」


「……どこがだよ」


「人間は、みんな同じ」



だからそんなに震えないで。

もし震えていることを隠したいのなら、いま私を抱きしめるのは違ったんじゃないの。


誰かが来た場合のうまく誤魔化す言い訳とか、ちゃんと考えてる?