「なにか欲しいもの、あるか」
「え、私…?」
「…クリスマスだろ」
なにもいらないよ。
いま、ぜんぶ揃ってるもん。
この時間があればいい。
────なんて言ってしまった自分を後悔したのは、言ってすぐあとだった。
先生にとっては、もしかすると初めて女の子と過ごすクリスマスだったかもしれないのに。
私ってほんっと可愛くないなあ…。
ここはワガママを言っておいたほうが良かったんじゃないの。
「先生。命って、人生って、雪みたい」
「…雪?」
「うん」
まだ降ってはいない冬空を見上げて、想像を膨らませてみる。
これもひとつのリハビリなんだって。
脳を動かして考えること。
「ふわふわ宙に浮いて結晶体が保たれてるあいだは、みんなして綺麗って言うでしょ?」
反対に地面に落ちて土が混じってぐしゃぐしゃになったものは誰も見ようとせず、むしろみんな避けて歩く。
降っては落ち、汚れて溶けてを繰り返す。
それはとても綺麗で、残酷で、誰しも最後には必ず逃れられない絶望が待ち受けている。



