「これから仕事なんだ。病院で俺を待ってる患者がいる」
「お、お医者さんなの…?」
「こんなくだらねえことに構ってるあいだに、救える命がひとつなくなるかもしれないんだよ」
すみません…と、気づけば素直な謝罪が飛び出していた。
お詫びになにか飲み物でも買ってあげようかと、自動販売機へ向かおうとした足は反射的に止まる。
「いっ……!!」
「…おい、」
「だ、大丈夫…、ただの…偏頭痛…、ちょっと待ってて…!ジュース買ってくるからっ」
初めて味わう、それは立てないくらい強いものだった。
ガチンッ!!と、音があったなら本当にそんな音。
頭がかち割れてしまうんじゃないの、冗談抜きでヤバいんじゃないのって危機感を生んでくる痛み。
なんとか呼吸を戻して、落ち着かせて、何事もなかったふり。
「はいっ!どうぞ!」
「…………」
「毒なんか入ってないよ?ほら、今そこで買ったやつだし!」
スススと、なぜか距離を取られる。
ぐいぐい押し付けて渡した小さなペットボトル、受け取ってくれたものの結局として空けられた距離。



