65リットルよりも、笑って。





それは、この薄暗いなかでも分かる赤色を隠したかったのもあったはず。


ほんと、らしくないね。

すっごいらしくないけど、すごく斑鳩 泰斗らしい。



「先生…、すっごいドキドキしてる」


「……当たり前だろ。こんなの…初めてだ」


「…もしかしてファーストキス?」


「………、」


「うそ。なにそれ……うれしー…」



そっと身体が離されると、今度は繋がれた手。
空いているほうの手で、目の前の頬を撫でてみる。

叩いちゃってごめんの、気持ちだ。



「…ギリギリセーフだよ、先生。18歳が成人年齢に変わってよかったね」


「………あぶねえ」


「ねえ、もしかして今気づいたとか?」



生きることを諦めたんじゃない。

私は死を受け入れて、このひとつの命として、今ある時間を精いっぱい生きてみることを選んだの。


ねえ、先生。


これ、先生のキスみたいにすっごく私らしくない“後付け”でしょ?