「なに…っ、もお~~~!!」
はーーーっと、全身の気が抜けた。
どうして名札を確認しなかったの私。
こんなにホッとしてる自分もワケわかんないし、たったそれだけで喜んでいる自分も理解不能すぎるお疲れ。
「……ふっ、ははっ…、あははっ!なにそれ最悪!」
ウィッグをくしゃっといじって、手持ち無沙汰ってだけでとくにズレてもいないニット帽を整える。
名前じゃなかった。
私のことだけ、名前で呼んでくれていた。
すると、スッとしゃがんできた影。
「っ、なに、」
「いや…、もっと見たいと思った」
そんなこと言われたらこっちまで緊張するし、うまく笑えなくなるんだってば。
「…どうせ担当医としての同情でしょ」
嫌味ではなく、軽々と言った。
それでもいいよ、それでいいよって、伝えるみたいに。
重荷を背負わせたいわけじゃない。
一緒に悩ませたいわけじゃない。
でも……いつまでも覚えていて欲しい。



