「じゃあ僕はこれで。仲良くやるんだよ、ふたりとも」
そう言って、どこか安心した様子の佐藤先生は去ってゆく。
盗み聞きされていたことに最初から気づいてたんだ、あれ…。
なにもう。
私だけバカみたいじゃん。
「…………」
「…………」
そりゃこうなる。
息が詰まりそうで逃げ出したかったけど、腕が掴まれているんだから終わり。
「…佐藤のこと、好きなのか」
「……なんでそーなるの」
「…なんとなく」
そっと腕が離されて、私は椅子に座り直した。
テーブル席のため、座るなら向かい側。
けれどそいつは私の隣に立ったまま見下ろしてくるわけで。
「そっちこそ、くるみ先生のこと好きなの?」
「……なぜそうなる」
「…なんとなく」
いやだな、この空気。
なんとなくって意味わかんないし、この男とこんな話って。
どーせ学生時代も勉強ばっかりやっていたあなたは、くだらないとでも思っているんだろう。



