65リットルよりも、笑って。





「じゃあ僕はこれで。仲良くやるんだよ、ふたりとも」



そう言って、どこか安心した様子の佐藤先生は去ってゆく。

盗み聞きされていたことに最初から気づいてたんだ、あれ…。


なにもう。
私だけバカみたいじゃん。



「…………」


「…………」



そりゃこうなる。

息が詰まりそうで逃げ出したかったけど、腕が掴まれているんだから終わり。



「…佐藤のこと、好きなのか」


「……なんでそーなるの」


「…なんとなく」



そっと腕が離されて、私は椅子に座り直した。
テーブル席のため、座るなら向かい側。

けれどそいつは私の隣に立ったまま見下ろしてくるわけで。



「そっちこそ、くるみ先生のこと好きなの?」


「……なぜそうなる」


「…なんとなく」



いやだな、この空気。

なんとなくって意味わかんないし、この男とこんな話って。


どーせ学生時代も勉強ばっかりやっていたあなたは、くだらないとでも思っているんだろう。