65リットルよりも、笑って。





「じゃあ診察をするね。なゆちゃん、あなたのお名前を教えてくれる?」


「……さ、…ささき、なゆ」


「血液型は?」


「……びー、がた」


「…今朝は何を食べた?」


「……チャーハンと、…うどん」


「……うん、これで質問は終わり。ありがとう」



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名前:佐野 なゆ

血液型:O型

今朝食べたもの:卵焼き、豚汁、
おかゆ、焼きシャケ

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看護師さんが手にしたバインダーに留められたプリントには、そう記載されていることも知らずに。

私の毎日は、こんな質問をされることからスタートする。



「佐藤先生。私ね…、記憶力めちゃくちゃ終わってる」


「なら、そのぶん新しいことを詰め込めるってことだね」


「………なにその超ポジティブ」



自分でも切迫感みたいなのがあるって、相当だ。

聞かれる質問に答えるだけで冷や汗をかくようになった。


だってなんにも思い出せないから。

とくに朝のチャーハンとうどんって、なに。
よくよく考えたら組み合わせがカオスすぎる。