「じゃあ診察をするね。なゆちゃん、あなたのお名前を教えてくれる?」
「……さ、…ささき、なゆ」
「血液型は?」
「……びー、がた」
「…今朝は何を食べた?」
「……チャーハンと、…うどん」
「……うん、これで質問は終わり。ありがとう」
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名前:佐野 なゆ
血液型:O型
今朝食べたもの:卵焼き、豚汁、
おかゆ、焼きシャケ
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看護師さんが手にしたバインダーに留められたプリントには、そう記載されていることも知らずに。
私の毎日は、こんな質問をされることからスタートする。
「佐藤先生。私ね…、記憶力めちゃくちゃ終わってる」
「なら、そのぶん新しいことを詰め込めるってことだね」
「………なにその超ポジティブ」
自分でも切迫感みたいなのがあるって、相当だ。
聞かれる質問に答えるだけで冷や汗をかくようになった。
だってなんにも思い出せないから。
とくに朝のチャーハンとうどんって、なに。
よくよく考えたら組み合わせがカオスすぎる。



