「視界はどうだ」
「……いつもどおり」
「言語の違和感や、会話の違和感は」
「……とくには」
「今日は血圧も測る」
………なにこいつ。
一晩すぎたら記憶がリセットされる体質でもしてるの?
次の日、また次の日と、毎朝のように私のメディカルチェックにやって来る。
様子はいつもどおりで、表情ひとつピクリともさせない無愛想も健在。
「んもうっ、なにこれ巻けないっ」
「貸してみろ」
「っ、…いいって別に!」
金輪際関わらないと断言したのに、私が拒絶する前に今だって血圧測定器を腕に巻いてきた。
私が前よりもまた手先が不器用になっていること、細かい作業が苦手になっていること。
震えて上手く使えなくなっていること。
わざわざ言葉に出さず、動揺せず焦らずサポートしてくれるのが斑鳩 泰斗だった。



