「…そっか。可哀想だとでも思ったんだ?」
「ちがう」
「憐れだって、見てられないって……そう思ったんでしょ?」
「違う」
「元カレにもあんなこと言われてっ、惨めな女だとでも思ったんでしょ…!?」
「そうじゃない」
だめ、だめ。
期待なんかしちゃいけないし、させることもだめ。
近いうち居なくなる人間に情を持たせて執着させたら、絶対ダメ。
あなたはこれからたくさんの病気と闘っていくべき医者。
「…したかったから、した」
未練を残してはいけない。
私はしっかり生きて、しっかり死んでいきたいの。
斑鳩先生、それがどれだけ無謀かを誰よりも知っているあなたが、私に執着なんか与えないでよ。
「っ、」
─────ばちんっ!!
「こんな慰めっ、いらない……!!」
キスがしたいと、少し前に佐藤先生に言ったのは私だ。
医者としてでいい、慰めでいい、なんて強がって怒られたのは私で、もう恋ができないどうのこうのと弱音を吐いたのだって私。
だから、お望みどおりキスができたことには変わりない。



