65リットルよりも、笑って。





なんっにも分かってない。

女の子心、もっと勉強したほうがいーよ。



「みんながいる病院で食べたって意味ないじゃんっ!ふたりだから意味があるのに…!花火だってそーだよバカ!!」


「…………」



どれだけ今日が楽しみだったことか。

数日前から服を選んで、メイクはどんな感じにしようかなって悩んで悩んで。



「っ、帰ればいーよ。私ひとりで見てくから。帰りたかったら帰ればいーじゃん」



病院にはくるみさんもいるもんね。

私なんかより彼女と見たほうが楽しいのかもね。


担当医だから気をつかってくれたのだとしたら、私だって佐藤先生でも良かったって嫌味を返してやる。



「…俺だって、それじゃ意味がない」



帰る素振りは帳消し。

どっかり座って、屋台で購入した食べ物を取り出した先生。



「……ならせめてそれ、食べ終わるまでくらいは…いいでしょ」


「…花火が終わるまで」



悪かった、と。

ようやく理解したのか、小さくつぶやかれる。