見ているこっちが不安になって、くいっと腕を引いてあげたりして。
「せんせー、迷子にならないでよ?危なっかしいのは先生のほうじゃんか」
「……先生はやめたほうがよくないか」
「あー、たしかに変な誤解が生まれそう。んー、じゃあイカルガ!」
「ナシ」
「えー?」
それにしてもチラチラと女の子の視線を奪っているというのに、本人は気にしてないとかじゃなく、気づいていない。
こーいうところだよねえほんっと。
損してると思う、人生。
そんな私といえば、久しぶりの外出に心なしかテンションは上がっていた。
今もそのノリで先生以外の呼び方を考えて、試しにポツリと。
「……泰斗くん、とか?」
いやいやいや、はずかしい。
なんだろ、これがいちばん嫌かも。
自分で提案しておいてなんだけど、これだけはない。
「…それでいい」
「えっ」
「りんご飴、だったか。行くか」
もういいですよ泰斗くん。
わざわざ買う必要はなくなりました、泰斗くん。
私の腕じゃなく手を握るみたいにして歩いていくあなたの顔がりんご飴。



