65リットルよりも、笑って。





「久しぶり…おばさん。ええと、ちょっとお願いがあって。私の部屋のクローゼットにある服、何着か届けてもらっていい…?あっ、あとメイク道具もできれば!私は元気でやってるのでご心配なく。……それでは」



留守電を入れた。

たまたま忙しかっただけか、それとも故意的にスルーされたのかは分からないけれど。


あれから親戚たちが私のところに何かアクションを起こしてくれることはなかった。


そのぶん、そばにいてくれる人たちの温かさを感じるからいいの。



「うわ~…先生、ひとヤバい!!」



どこから湧いて出てくるの?


当日は待つまでもなくやってきて、屋台が並ぶメイン通りにたどり着くと、子供から大人まで老若男女わんさか溢れている祭り会場。

あまり帰りを遅くならないようにするため早めに来ていたとしても、この時間から想像以上の人混みだった。



「りんご飴だって!先生先生っ、りんご飴食べたくない?」



人混み嫌いそうなのによく頑張って来たねって褒めてあげたい。

それほど雑踏の歩き方を分かっていない、私服姿の担当医は。