「なゆちゃんってなんだ。いつの間にそうなってんだよ」
「いつの間にって……気づいたら?」
「気づいたらなんで名前で呼ばれることがある」
「えー、それあなたが言う?自分もじゃん。気づいたら呼び捨てだったし」
409号室の扉をパタリと閉めて、どこか機嫌が悪そう。
私だってイライラしてるけど、これは症状なの。
「…そっちだって“くるみ”って若い看護師さんのこと、名前で呼んでるくせに」
「……なんでくるみだよ」
「っ、さあね!!」
なにそれ当て付け?
わざわざ今、その名前繰り返す必要あった?
ゲームも今日はちょっとやる気が起きないし、最近はとくにセーブしたまでの話を忘れてしまうことが多くて。
ゲームにまで支障が出るだなんて嫌になるよ。
せめてその世界でくらいはいろんなことを忘れたいのに。
「……なにこれ」
ひらりと、私の手に持たせられた1枚のプリント。
四つ折りにしていたようで、ずっと白衣のポケットで卵みたいに温めでもしていたのか。



