65リットルよりも、笑って。





そう言った私に、眉を下げて微笑んだ佐藤先生。

ほんのちょっとだけ、コツンと肩をぶつけてきた。



「…してないよ。わざわざ強く取り繕う必要なんかない。僕たちの前でくらい弱くたっていいじゃないか」


「……うん。でもやっぱ堂々とは言えないよ。…恥ずかしいよ、こんなの」


「…僕もそれは配慮が足りたかった。なゆちゃんは女の子だからね」


「……さっきは頭がぼんやりしてる?とか言ってきたくせに」


「だってあの場ではそう言わないと、周りに変な誤解が生まれると思ったから」



ぜんぶ見透かされてる感じがした。

ある意味、私がいちばん苦手としている部類かもしれない。


そしてまたまた言葉に詰まった私にかけられる、意味不明な追い討ち。



「それでももし、本当になゆちゃんの意思で僕に頼んできたときは───…僕も男として、そのときは応えたいと思う」



…………はい?


いや、今の今めちゃくちゃ怒ってたよね?

ふざけるな、あんなこと言うなって、怒ってきたよね?



「えっ、いやいや!いーよいーよ!うわ…!それすっごいやだ!!」


「……やだって、どうして」


「やりづらい!!明日からリハビリできなくなるっ!とりあえず明日休んでいい!?」


「だめ」


「っ…」