65リットルよりも、笑って。





「だって私、いちばんマシだと思ってた元カレに最近ひっどい振られ方してるから。もうすぐ死ぬんじゃね?なーんて言われちゃってさあ…。ひどいよ、ひどい。いつも忘れたい記憶ほど忘れられないとか」


「…………」


「だからもう医者として、でもいいかも。ほら可哀想な患者に慰めてあげるような気持ちで───」


「っ、馬鹿なことを言うな…!!」



私が言葉に詰まる前に、周りの人間たちがぎょっとさせて静まった。


私たちがそれまでどんな会話をしているのか知らない大半は驚いていて、「すみません」と一言落とした佐藤先生。


つぎに「ごめん、なゆちゃん」と、私にも謝ってくる眼差しは真剣。

そしてどこか泣きそうだった。



「……ちょっとこっち、移動しよう」


「え、」



私の腕を引いて、リハビリテーション室を出る。

休憩スペースとして設置された隠れたベンチに私たちは座った。