65リットルよりも、笑って。





「佐藤先生」


「うん?」


「キスしたい」


「……どこか頭がぼんやりしてる?」


「うわっ、ひど!」



26歳、まだ若いし許容範囲だ。

よく見るとルックスも悪くないし、性格も穏やかで優しい。


リハビリにやってくる患者さんの女性指名ナンバー1を誇るのは、私のリハビリ担当でもある佐藤 颯汰(さとう そうた)。



「そーいうのはリハビリメニューに入ってないの?」


「…そしたら僕たちリハビリ医はいろんな患者さんとキスをしなくちゃならなくなる。ああ、人口呼吸は別としてね」


「いやいや、そーいうこと言ってるんじゃなくてさあ…」



だめだ、この人もあの男と違ったようで似たタイプかも。

変に冗談が通じないヤツって、こっちが本気で言ったときは逆に冗談にして返してくる。


あーもう、やりづれえ医者マジめんどくせえ。