65リットルよりも、笑って。





「私も最後は……笑っていきたいな」



白紙じゃなくなったよ。

目標とまではいかないけれど、生きる意味?みたいなものができた。


蓮夜が私に教えてくれたんだ。



「いつかそう思うために今をしっかり生きてみることって、そこまで悪いことじゃないんじゃないかなって」


「…俺は、生きる意味なんか後付けでいいと思う。生まれた意味も、それだって後付けで十分だ」


「後付け…。じゃあ私、これから意味が付けられるのかな」



とかなんとか言っていた直後だったらしい。

私の意識がプツリと途絶えてしまったのは。


それも脳腫瘍の症状のひとつ。


目を開いたとき、空は暗くなっていて。
また私は貴重な時間を無駄にしてしまったんだと。

病室には主治医の渡会先生と、担当医でもある斑鳩先生、それから看護師の間宮さん。



「ねえせんせ、私……、みんなより最初に蓮夜に会える…ね」



笑ってみせた私に、医者たちは揃って瞳を震わせた。