「……美月、話があるんだ」

「なんだよクソ野郎こっち見んな」

「欲しかったゲームあるだろ?買ってあげるから結永を寄越せ」

「げ、ゲーム!?新作の!!?」

「ああそうだ」



ちょ、美月くん……!?

まさかの理人くんの誘惑に負けかけている弟に、可愛げを感じながらも恐ろしくて震える。


「あれ一万円ぐらいするんだよ!!いいのか!?」

「ああ、ただし結永をくれたらな」

「5分だけなら貸してやる!」


バンッと美月くんに押されて理人くんの胸に飛び込んだ。


「っ、結永はか弱いんだからもっと丁寧に扱ってよ」

「喜んでるくせに。約束だからなー」


それだけ言って家に入って行ってしまった美月くんにため息を溢す。


「結永、大丈夫?」

「う、うん……」

「……僕の家、来る?プリンあるよ」

「な、何回言うの?行かないよ……」

「……そっか、ごめん悪いことしちゃったね」



ポンポンと頭を撫でられた。

そんなことしても、許してあげないんだからっ……!


「知らない。もう関わらないで!!」

「でもさ、結永も悪いと思わない?」

「え?」

「君が浮気したのが悪いんだよ」


また、小さく聞こえてきたそんな言葉。


私が浮気?意味がわからないよ。