「っ……理人くん、最低……」


マフラーの件で気を逸らすことが思ったようにできなかったのか、私の頬は濡れていた。


涙を拭うと、今度はポンポンと頭を撫でられる。


「あー……その泣いてる顔もとっても可愛い」


小さな声で、聞こえてきたそんなセリフ。


どうして、私のことなんか眼中にないくせにそんなこと言うの?

理人くんなんか、大っ嫌い……。



グスグス泣いていると、弟が家から出てくる。


「んだこの野郎姉ちゃんのこと泣かせてんじゃねえよ!!」


バンッとものすごい音がすると共に、弟に抱きしめられた。


「姉ちゃん大丈夫?かわいそうに、俺がちゃんと守ってやるから安心しろよ」

「美月くん、ありがとうっ……」


弟の美月くんは可愛い顔してるわりにめちゃくちゃたくましい。


なぜ美月くんと読んでいるかといえばこの子は義弟だからだ。


母親の再婚によりできた可愛らしい弟。